こんにちは、なおじです。
今回は、なおじが実際に手に取り、じっくり読み込んだ一冊をご紹介します。
樋口裕一・大原理志著『小論文これだけ!深掘り編』(東洋経済新報社)、その使い方です。
35年間、教壇に立ちながら書くことにこだわり続けてきたなおじが、この本を読んで「これは受験生に伝えなければ」と感じました。
難関校の小論文で本当に差をつけたい受験生に向けて、元教師の視点でじっくりお伝えします。

この記事でわかること
- 『小論文これだけ!深掘り編』の構成と他の小論文本との違い
- 自分のレベルや志望校に合う本かどうかの目安
- この本の核心「3WHAT・3W1H」とは何か
- 元教師・元校長なおじが感じた強みと正直な注意点
- 偏差値アップにつながる3ステップの具体的な勉強法
『小論文これだけ!深掘り編』はどんな本か
→ この項が答える疑問:他の小論文参考書と何が違うのかを知りたい
シリーズ累計40万部の背景
本書は、樋口裕一・大原理志による『小論文これだけ!』シリーズの一冊です。
シリーズは2004年に刊行がスタートし、累計40万部を超えるベストセラーとなっています。
「この本で最難関校に合格できた」「受験本番でそのまま使えるネタが満載だった」という声が毎年届いているそうです。
今回の「完全版」は、コロナ禍を経て社会が大きく変わったことを踏まえ、最新情報を盛り込んで全面リニューアルされたものです。
「超基礎編」との関係
『深掘り編』は、同シリーズの「超基礎編」と対になる本です。
「超基礎編」が完全初心者向けであるのに対し、『深掘り編』は小論文の基礎を一通り学んだ受験生向けの、より高度な内容となっています。
両方あわせて読むことで、難関校に必要な知識とテクニックを完全に網羅できる設計になっています。
「超基礎編はもう読んだ、次の一手が欲しい」という受験生にとって、まさにぴったりの一冊です。
2部構成で「書き方」と「書くネタ」を両取り
本書は大きく2部構成になっています。
第1部「書き方」編では、小論文の型・論の深め方・課題文への対応・変則的な設問への対応など、実践的なテクニックを扱います。
また、第2部「書くネタ」編では、国家・国際関係・日本の政治経済・地方の問題・メディア・科学・言語・文化・文学・芸術・現代の思想という、入試で狙われやすい10テーマを例題・解答例つきで解説しています。
テクニックだけでなく「書く内容そのもの」を体系的に学べる点が、他の小論文本との大きな違いです。
この本はどんな受験生に向いているか
→ この項が答える疑問:自分のレベルや志望校に合う本かどうかを知りたい
最も合う受験生のレベルと志望校
本書が想定しているのは、「基礎は終えていて、中堅校・難関校を目指している受験生」です。
具体的には、国公立大学の二次試験や、私立難関校で小論文が課される受験生が主なターゲットになります。
「小論文の型は知っているけれど、もう一段レベルを上げたい」と感じている受験生に、特に効果的な一冊です。
合わない受験生とその場合のすすめ
一方、「小論文とは何かも知らない」という完全な初心者には、本書はやや難しいかもしれません。
その場合は、同シリーズの「超基礎編」から始めて、基礎の型を身につけることをなおじはすすめます。
また、志望校で小論文の比重が軽い場合や、残り時間が極端に少ない場合は、第2部「書くネタ」編の中から受験テーマに近い章だけを集中的に読む使い方も一つの手です。
なおじが考える「買うべきタイミング」
なおじがこの本を買うべき受験生を考えたとき、こう思いました。
「小論文を、なんとなく書けている気がするが、確信が持てない受験生」です。
そういう受験生は往々にして、「型は使っている、でも深みがない」状態にいます。
本書はまさに、その「深みのなさ」を解消するための一冊として機能します。
早ければ高校3年生の夏以降、遅くとも秋口までに一読しておくと、冬の本番に間に合います。
テスト前だけ急にやる気を出す受験生がいますが、小論文だけはそれが通用しにくい。なおじの経験上、じわじわ積み重ねた子の方が本番に強かったです。
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この本の核心「3WHAT・3W1H」で論を深める技術
→ この項が答える疑問:具体的にどんなテクニックが学べるのかを知りたい
小論文の定義「イエス・ノーをはっきりさせる文章」
本書はまず、小論文をこう定義しています。
「小論文とは、ひとつのイエス・ノーをはっきりさせる文章」。
なおじは、この一行を読んで思わず膝を打ちました。
35年の教職で生徒の作文を見てきたとき、「惜しい」と感じる文章は必ず「イエスかノーか」がはっきりしない文章でした。
「こういうことも言えるし、ああいうことも言える…」と書いてあるのに、結局どっちなのかが見えない。
その正体が、この定義一行でスパッと言語化されていたのです。
ノートの端に同じ言葉を何度も書き込んでいるのに、感想文には「どちらとも言えない」と書いてしまう生徒、教室でも見たことがある方も多いのではないでしょうか。
3WHAT・3W1Hのフレームワーク
本書が紹介する「論の深め方」の核心が、**「3WHAT・3W1H」**というフレームワークです。
書く前にこの順序でメモをとることで、論点が整理され、深みのある小論文が書けるようになります。
| フレーム | 問い |
|---|---|
| 3WHAT①定義 | それは何か |
| 3WHAT②現象 | 何が起きているか |
| 3WHAT③結果 | そのままだとどうなるか |
| WHERE | ほかの地域・国ではどうか |
| WHEN | いつからそうなのか(歴史性) |
| WHY | 賛否の根拠は何か |
| HOW | 対策・解決策は何か |
これだけのメモを埋めるだけで、小論文の骨格がほぼ完成するという仕組みです。
指導主事の仕事と3WHAT・3W1Hは同じだった
(※ここからなおじの考察です)
なおじは指導主事として5年間、学校訪問の記録と各学校からの質問事項への回答を大量に書いてきました。
「各校からわかりやすいと言われた」と自負できる報告書を振り返ってみると、どれも「問題の定義→現象の整理→原因の分析→対策の提案」という流れになっていました。
これはまさに、3WHAT・3W・1Hの骨格と同じです。
なおじが現場で感覚的に使っていたことが、受験生向けに体系化・言語化されていたわけです。
「これを高校生のときに読んでいたら、もっと早く体得できたのに」と少し悔しくなったほど。
元教師・ブロガーなおじが感じた強みと注意点
→ この項が答える疑問:信頼できる本か、経験者の正直な評価を聞きたい
「書くことを仕事にしてきた人間」から見た強み
なおじは35年間の教職で、学級通信を年間約100号、学校便りも毎年欠かさず出し続けてきました。
書くことを毎日の仕事にしてきた立場から言わせてもらうと、本書の一番の強みは「型を持つことで、書くスピードと質が同時に上がる」という点を体感的に教えてくれる構成にある点です。
なぜなら、学級通信で毎年100号出せたのも、「冒頭で状況提示→事例→メッセージ」という型を、無意識に使っていたからです。
本書はその型を、受験生向けに丁寧に、段階的に解説しています。
第2部「書くネタ」編が持つ本当の価値
本書の第2部は、単なる知識集ではありません。
国家・国際関係・日本の政治経済・メディア・科学・現代の思想など、入試で狙われやすいテーマについて「例題→解説→解答例→基礎知識」という流れで構成されています。
元社会科教師として言わせてもらうと、これらのテーマは社会科の授業で扱う内容と大きく重なります。
ただし、社会科が苦手な受験生は、第2部を読む前に教科書レベルの知識を補っておくと効果的です。
正直に言う「ここだけは注意」ポイント
一点だけ正直に伝えます。
本書は知識の密度が高い分、読み進めるのに体力がいります。
第2部の各テーマは、例題・解説・解答例・基礎知識がセットになっているため、全10テーマを一気に読もうとすると消化不良になりがちです。
なおじのすすめは、第1部を先に一周して「型と深め方」を頭に入れ、第2部は自分の受験テーマに近い章から読むこと。
全部読もうとしなくていい。使えるネタを3〜4テーマ深く仕込む方が、入試本番では強いです。
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偏差値アップにつながる3ステップ勉強法とQ&A
→ この項が答える疑問:具体的にどう使えば成績に結びつくのかを知りたい
Q1:基本の3ステップとは
なおじがすすめる『小論文これだけ!深掘り編』の使い方は、次の3ステップです。
ステップ1:第1部だけを先に2回読む
型・定義・3WHAT3W1Hを体に入れることを最優先にします。
難しく感じても、まず通読することが大事です。
ステップ2:第1部の例題を自分で書いてみる
読んだだけでは身につきません。
本書の例題を実際に書き、解答例と比較してみてください。
「どこで深みが違うか」を比べることで、3WHAT3W1Hの感覚がつかめます。
ステップ3:第2部から「自分の受験テーマに近い章」を選んで読む
全部読む必要はありません。
国公立・社会系学部を受ける方は国家・政治経済・国際関係を。
理系学部は科学・知学問を。文学部・表現系は言語文化・文学芸術を重点的に読むことをすすめます。
Q2:受験まで時間がない場合、どこから読めばいいですか?
A:第1部の「3WHAT・3W1Hのメモ法」だけを集中して読み、実際に1本書いてみてください。
時間のない受験生でも、ここだけで論の組み立て方が変わります。
小論文の答案は「どれだけ知っているか」より「どう考えたか」が評価されます。そのフレームを先に持つだけで、十分に戦えます。
Q3:「超基礎編」を読んでいないと、この本は使えませんか?
A:ゼロからでも読めますが、基礎の型(A型・B型など)を知らないと第1部の説明が少しわかりにくいです。
「超基礎編」を先に読む、または本書の第1部第1章だけ先に精読してから進むのが安心です。

Q4:ブログや仕事の文書にも役立ちますか?
A:なおじとして正直に言うと、はい、かなり役立ちます。
なおじ自身、ブログ歴5年で記事を書き続けてきましたが、「読者へのイエス・ノーをはっきりさせているか」という問いは、ブログ記事の質にも直結します。
受験が終わった後も手元に置いておく価値がある一冊です。
Q5:過去問と組み合わせるとしたら、どう使えばいいですか?
A:志望校の過去問テーマを調べ、そのテーマに近い第2部の章を読んでから書く使い方が最も効果的です。
「ネタを仕込んだうえで書く」状態と「白紙で書く」状態では、論の深さがまったく違います。
一方で、ネタに引っ張られて「知識の発表」になってしまうのは禁物。あくまでイエス・ノーをはっきりさせるための材料として使うことを忘れずに。
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筆者紹介|なおじってどんな人?
元公立学校社会科教師・元校長(茨城県、教職歴35年)。退職後はブログ執筆歴5年。学級通信を年間100号書き続けた「書く人間」として、多角的な視点で記事を発信中。キャンピングカーオーナー。