
こんにちは、なおじです。
「所さんの目がテン!」のかがくの里に、世界的建築家・隈研吾氏が設計した茅葺き母屋が完成しました。
2025年4月に屋根が完成し、同年11月には内装も仕上がったというニュース。
テレビで映像を見た瞬間、なおじは「えっ、これが茨城の里山に建ってるの?」と声を上げてしまいました。
この記事では、隈研吾氏の建築思想・茅葺き工法の特徴・そして生物多様性との関係を、元社会科教師なおじの視点でひも解きます。
この記事でわかること
- 隈研吾氏がかがくの里の母屋を設計した経緯と理由
- 茅葺き建築の工法と現代建築との比較
- 完成した母屋が番組内でどう紹介されたか
- 茅葺きと生物多様性の意外な関係
- 新国立競技場との思想的なつながり
かがくの里の母屋に隈研吾氏が選ばれたわけ
「自然素材の建築家」という必然

隈研吾氏といえば、木・竹・石・土といった自然素材を多用する建築スタイルで世界的に知られています。
東京オリンピックの新国立競技場(JAPAN SPORT COUNCIL設計競技・大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同)では、木材と緑を組み合わせ「森のスタジアム」を実現しました。
あの国立競技場と今回の茅葺き母屋。
スケールはまったく違いますが、「自然と建築を融合させる」という哲学は一本の線でつながっています。
かがくの里が掲げる里山再生・生態系保全の思想と、隈研吾氏の建築哲学が合致した。
それが選定の理由だと、なおじは番組を見ながら確信しました。
新国立競技場との思想比較
| 比較軸 | 新国立競技場 | かがくの里の母屋 |
|---|---|---|
| 規模 | 約6万人収容 | 数十坪程度 |
| 素材 | 木材・スチール | 茅・土 |
| コンセプト | 森のスタジアム | 里山の暮らし |
| 共通思想 | 自然と建築の共存 | 自然と建築の共存 |
大きさは対照的でも、「自然の中に建築を溶け込ませる」という一貫した姿勢。
これが隈研吾氏の真骨頂だとなおじは思います。
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茅葺き母屋の工法と建築の特徴
茅葺きとはどんな技術か

茅葺きとは、ススキ・ヨシ・カヤなどの植物を束ねて屋根材にする、日本の伝統的建築技法です。
社会科の授業で弥生時代の竪穴住居の絵を見せると、生徒たちは「あー、あれ!」と反応したものです。
実はあの屋根も茅葺きの原型。
日本列島の風土の中で何千年も使われてきた、証明済みの建築技術なんですよね。
現代では後継者不足や材料の確保が課題となり、全国的に急速に失われています。
だからこそ、かがくの里でこの技法が再現されたことには大きな意味があります。
円形の屋根と地元の茅
今回の母屋の最大の特徴は「円形の茅葺き屋根」という独創的なデザインです。
隈研吾氏はここでも既存の様式に縛られず、新しい形に挑みました。
使われた茅は地元・常陸太田市周辺産。
「地域の素材で地域を建てる」という考え方は、里山再生プロジェクトの核心そのものです。
茅の刈り取りから屋根仕上げまで、地域の職人と番組スタッフが一緒に取り組んだと報道されています。
なおじが思ったのは、「これって授業でいう体験学習の最高の形だなあ」ということ。
知識を現場で実践に変える。
35年間、教室でそれを目指してきたなおじとしては、うらやましい限りです。
目がテン!が映した完成式典の様子
2025年4月・屋根完成のドラマ

2025年4月、茅葺き屋根が完成。
同年11月には内装も仕上がり、母屋は晴れて「住める家」になりました。
番組内ではその工程が複数回にわたって放送され、職人の手作業で茅が束ねられ、円形の屋根が徐々に形を成していく様子が映し出されました。
正直、テレビの前で「すごいなあ」とつぶやいてしまいました。
茅葺きが 里山の夢 完成す
10年かけて荒れ地を再生し、その集大成として母屋を建てる。
ドラマとして見ても、相当に面白いプロジェクトです。
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「たたき」の土間と伝統技法の復活
母屋内部では「たたき」という技法を使った土間も再現されています。
「たたき」とは、石灰・砂・にがりなどを混ぜて固める伝統的な床仕上げ技法です。
コンクリートも合板も使わない。
現代建築では絶滅危惧種並みのこの技術が、かがくの里でよみがえりました。
社会科の授業で「江戸時代の農家の暮らし」を教えるとき、「土間のある生活」を説明するのに苦労した記憶があります。
「先生、土間って何?」「床がない部屋のこと?」
そう聞かれて困った生徒たちに、今なら「かがくの里を見てきて!」と言えます(笑)。
茅葺き建築と生物多様性の関係
茅場は生き物の宝庫だった

「茅葺き屋根に生物多様性?」と思うかもしれません。
ところが、これが非常に深い関係にあるんです。
茅の原料となる草地(茅場)は、かつて日本の農村風景の中でごく普通に見られました。
ところが戦後の高度経済成長で農業が機械化・効率化されると、茅場は次々と消滅。
その結果、茅場に依存していた昆虫・鳥類・小動物の生息地も失われていきました。
茅葺きを維持するということは、茅場を維持するということ。
そして茅場を維持するということは、その生態系を守るということです。
環境省「自然共生サイト」との連動
かがくの里は環境省から「自然共生サイト」に認定されています。
これは「生物多様性保全に貢献している民間の土地・施設」として国が認めた証明。
茅葺き母屋の建設は、単なる建築プロジェクトではありません。
里山の生態系を守り続けてきた10年間の活動の「結晶」として建てられた建物です。
元社会科教師として強調したいのは、この視点です。
「建物を建てること」と「自然を守ること」が矛盾なく両立している。
現代社会が忘れかけている大切な感覚を、かがくの里は形にして見せてくれています。
👉関連記事:かがくの里の場所と行き方は?母屋完成も解説
かがくの里の母屋に関するQ&A
Q1. 隈研吾氏はなぜかがくの里に関わったのですか?
隈研吾氏は「負ける建築」という概念を提唱し、自然に溶け込む建築を長年追求してきた建築家です。
里山再生という思想と自然素材建築の哲学が一致したため、かがくの里のプロジェクトに参加したと考えられます。
番組でも、氏の設計思想は「自然と共存する空間を作ること」として紹介されています。
Q2. 茅葺き屋根の寿命はどれくらいですか?
適切なメンテナンスを行えば、茅葺き屋根の寿命は30〜50年ともいわれています。
ただし葺き替えには多大なコストと職人の技術が必要です。
かがくの里では地元の職人技術の継承も視野に入れているとみられており、この問題にも向き合っています。
Q3. 母屋の場所はどこにありますか?
かがくの里は茨城県常陸太田市町屋町にあります。
一般公開はされていないため、実際に訪問して内部を見ることはできません。
場所の詳細や周辺情報については、
👉関連記事:かがくの里の場所と行き方は?母屋完成も解説
をご覧ください。
Q4. 茅葺きと生物多様性は本当に関係があるのですか?
あります。茅場(茅の生育地)は草地生態系として多くの昆虫・鳥・小動物の生息地です。
茅葺き建築の需要がなくなれば茅場も消え、その生態系も失われます。
茅葺きを作ることが、茅場を維持する理由になるという循環構造があります。
Q5. 「目がテン!」はいつ頃この母屋を取り上げましたか?
2025年の屋根完成時(4月前後)と内装完成時(11月前後)にそれぞれ放送されたとみられます。
ただし具体的な放送日・話数については日本テレビの公式サイト(ntv.co.jp)でご確認ください。
筆者紹介|なおじ
なおじは元社会科教師として教育現場に35年間携わり、指導主事を5年、校長を11年務めました。
退職後もボランティアで子どもたちに学習を教えています。
社会科・歴史を長年教えてきたので、茅葺きや土間といった伝統建築の歴史的背景を読み解くことは得意分野です。
授業で「江戸時代の農家の暮らし」を教えるたびに、現物を見せたいと思い続けてきました。かがくの里の母屋は、その「現物」に近い存在です。